蛙と蝸牛

本と映画の感想

もう二度と食べたくないあまいもの

もう二度と食べたくないあまいもの(井上荒野 祥伝社

恋愛小説の短編集。
ストレートな、甘い恋愛ものではなくて、中年の実らぬ(あるいはすでにやぶれた)恋(ほとんどが浮気)を描いた作品が多い。タイトルにはそういう含意があるのだろうか?

「奥さん」→団地で手作りのカレーを売る男が、団地妻(←なんか久しぶりに聞いたというか使った気がする。今の若い人には「何それ?」ってなもんだろうな)と次々関係を持つ話。この男に性欲とかいやらしさがあまり感じられない所がかえってイヤ~な印象を強めている。

「自伝」→ノムさんがモデルのような元野球選手に自伝の執筆を依頼した編集者とその先輩の話。そっけない二人のあいだにそこはとなく漂う恋情??がいい感じだった。

「古本」→古本漁りが趣味の主人公に見知らぬ女から電話がかかってくる。彼女は自分の夫が主人公といっしょにいると思い込んでいる。不条理な状況なのに全く平気な主人公が可笑しい。

「幽霊」、「裸婦」→認知症気味?の老人を登場させる必然性が感じられず、若干後味が悪かった。