蛙と蝸牛

本と映画の感想

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

居るのはつらいよ

居るのはつらいよ(東畑開人 医学書院) 博士号取得後、沖縄の精神科クリニックに心理士として就職した際の経験から、ケアとセラピーの違いについて考察したノンフィクション的評論。 ケアとは、傷つけない、ニーズを満たす、やってあげる、支える、開放、円…

チーム・オベリベリ

チーム・オベリベリ(乃南アサ 講談社) 十勝・帯広地域の開拓の先駆者となった晩成社の活動を、同社の主要メンバーの渡辺勝の妻:カネを主人公として描く。 カネは、横浜の共立女学校を卒業するという、当時としては最高レベルの教育を受けているのだが、(…

売国妃シルヴィア

売国妃シルヴィア(宵野ゆめ ハヤカワ文庫) グインサーガ続編第4弾。(通番134) 行方不明になったシルヴィアは、選帝侯会議で廃嫡される。しかし、その会議では(ハゾスの思惑は外れて)グインを次期皇帝に選出することはできなかった。一方、南方国境…

廃炉-「敗北の現場」で働く誇り―

廃炉-「敗北の現場」で働く誇り―(稲泉連 新潮社) 福島第一原発の廃炉作業に携わる、経産省の広報担当官僚、4号機を覆う巨大なカバーを設計した竹中工務店の社員、高線量ガレキの搬出を担当する鹿島の社員、炉内を探査するロボットの開発者、事故後の東電…

昭和の犬

昭和の犬(姫野カオルコ 幻冬舎) 戦後間もないころ、滋賀県の田舎と都会の中間くらいの香良市でイクは育った。語学教師の父親は機嫌が悪くなると暴発するDV系で、母親は育児放棄気味。しかし周囲の人の協力もあってイクは東京の大学に通う。東京では就職し…

死体埋め部の回想と再興

死体埋め部の回想と再興(斜線堂有紀 新紀元社ポルタ文庫) 「死体埋め部の悔恨と青春」の続編。 前編で主人公(の一人)が死んでしまったのだが、多分人気が出たので無理矢理続編を書いた感じの内容。 しかし、「その謎解きはムチャだろ」みたいな話が多か…

カセットテープ・ダイアリーズ

カセットテープ・ダイアリーズ 主人公のジャベドの父はパキスタンからの移民で、イギリスのルートンの自動車工場に長年勤務していた(が、解雇されてしまう)。 ジャベドは友達から紹介されたブルース・スプリングスティーンに熱中するが、父はひややかだっ…

エンド・オブ・ライフ

エンド・オブ・ライフ(佐々涼子 集英社インターナショナル) 京都にある在宅医療の病院のスタッフとその患者の終末期におけるエピソードを記録したノンフィクション。 末期がんに冒された(京都の病院に勤務する)看護師の話がメインになっているが、むしろ…

ランチ酒(原田ひ香 祥伝社文庫)

ランチ酒(原田ひ香 祥伝社文庫) 犬森祥子は、姑とうまくいかず離婚する。幼なじみの紹介で「見守り屋」(夜中に子供や老人、ペットなどに異常がないか監視する商売)をやっている。楽しみは仕事終りに仕事場所の近くの店でのお酒付きの昼食・・・という話…

ミッドウエイ

ミッドウエイ 米軍パイロットのディック・ベスト(実在の人物らしい)を主人公に、真珠湾~ミッドウエイの海戦を描く。 太平洋戦争の序盤では、アメリカの魚雷の信頼性は非常に低くて、命中しても不発のことが多かった。このため、艦載機による攻撃でも(命…

比ぶ者なき

比ぶ者なき(馳星周 中公文庫) 天皇家と婚姻関係を持ち、政治力でしきたりを変更して藤原家の女を皇后にし、藤原家の永遠の繁栄を目指した藤原不比等の生涯を描く。 持統天皇以降のわかりにくそうな天皇家をめぐる皇族や重臣の動向を、古代史に興味が薄く不…

日本史サイエンス

日本史サイエンス(播田安広 講談社ブルーバックス) 著者は船舶設計者。技術者の視点から、元寇の撃退要因、秀吉の中国大返し成功の原因、戦艦大和の存在意義を分析する。 元寇については、主として日本に侵攻した船の構造を想像することで、侵攻軍は大陸で…

本郷界隈 街道をゆく37

本郷界隈 街道をゆく37(司馬遼太郎 朝日新聞社) 東京の文京区を中心とした地域を歩いて、加賀藩・水戸藩邸、鴎外、漱石、一葉などのゆかりの地をしのぶ内容。 本郷って今だと都心のど真ん中という感じなんだけど、江戸時代だと府内の境界線だったそう。 …

株式市場の本当の話

株式市場の本当の話(前田昌孝 日経プレミアシリーズ) 著者は日経新聞で30年くらい一貫して株式関係の記事を書いてきた。日経は署名記事が多いので、私も著者の名前はおなじみなのだが、ちょっと斜めから見た皮肉な感じの内容が多かったような印象。 本書…

魔聖の迷宮

魔聖の迷宮(五代ゆう ハヤカワ文庫) グインサーガ続編3作目。 栗本グインが終わった、ヤガにおけるエピソードの続き。「七人の魔導師」に登場した下っ端?魔導師(なぜか本書においては彼らは「魔術師」と呼ばれていたが・・・)が総登場する。 いずれも(…

パブリック 図書館の奇跡

パブリック 図書館の奇跡 スチュアート(エミリオ・エステヴェス(主演兼監督)はオハイオ州シンシナティの図書館の司書。一人暮らしでちょっと変わり者。厳冬期に入り、ホームレスが暖を求めて開館から閉館まで図書館に詰めかける。スチュアートはホームレ…

本を売る技術

本を売る技術(矢部 潤子 本の雑誌社) 36年間大型書店中心に書店員をしてきた著者の体験談を本の雑誌の杉江さんがまとめたもの。題名通り、書店店頭での販売技術をドライな商人目線で解説している。 書店員というと、書籍に思い入れがあって、自分が読んで…