蛙と蝸牛

本と映画の感想

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

善き人のためのソナタ

1980年代の東ドイツが舞台。 自国民を監視するのが専門の組織があり、対象はほとんど無差別で、手段は盗聴、尾行などなんでもありだった。 主人公はその組織の準幹部で尋問のエキスパートである。(被尋問者を寝かせずに丸2日も連続して尋問し続けると、ウソ…

お腹召しませ

お腹召しませ(浅田次郎 中央公論) 「五郎治殿御始末」に続く時代短編集。前作に比べるとややコメディタッチの話が多いし、最後が尻切れトンボみたいな終わり方(各短編の最後に著者の独白が付いているのでそう思えるのかもしれないが)が多くて、やや著者…

りんごは赤じゃない

りんごは赤じゃない(山本美芽 新潮文庫) ある公立中学校の美術教師のユニークな授業方法を紹介するノンフィクション。 この教師は、就職経験がない専業主婦だったが、夫の専横に耐えかねて離婚。 30代なかばにして子育てをしながら教職免許を取得して就職…

「超」英語法

「超」英語法(野口悠紀雄 講談社文庫) 野口さんの書いた「超」ナントカシリーズは、著者の体験を書いたノウハウ本で、私には、あまり実用的とは思えない。 相当に多忙でしかも大学教授のように、頭が良くて、仕事がほとんど個人プレー(会社のような分業が…

ブラッカムの爆撃機

ブラッカムの爆撃機(ロバート・ウェストール 岩波書店) 第二次大戦期のイギリスを舞台とした3つの短編と、著者のファンである宮崎駿さんが著者の故郷を訪ねた紀行マンガを収録している。もともと児童文学として書かれた作品とのこと。 表題作は、ドイツ爆…

それでもボクはやってない

それでもボクはやってない 痴漢と間違えられて女子学生に逮捕された主人公は、容疑を否認し続けて長期間拘留されたあげくに起訴され刑事裁判の被告となってしまう。その経過を(ドラマチックな要素を極力排除して)淡々と描いた作品。 この映画はとても怖い…

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー(伊坂幸太郎 新潮社) 例によって舞台は仙台。首相暗殺の犯人にしたてあげられた主人公が、(捕まってごたくを並べられる前に殺してしまおうとしている)警察に追いかけられ、かつての友人などに助けられながらひたすら逃げる話。 伊坂…

玻璃の天

玻璃の天(北村薫 文藝春秋) 昭和初期、富豪の娘の学生が日常のちょっとした謎を解く話2編と殺人事件の推理をする1編から成る連作集。 娘の専用車の運転手がホームズ役(頭が切れて古典の知識は並みの学者より上、しかも銃の名手でもあるというスーパーウー…

「死」の教科書

「死」の教科書(産経新聞大阪社会部 扶桑社新書) 年少者の殺人、JR西日本の事故、自殺、死刑制度、尊厳死、葬祭制度、戦争などの周辺の人々を取材して「死」の意味を考えたルポ。 最後が特攻で死んだ人のエピソードで終わるところが産経新聞らしいけれど、…

イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ(乾くるみ 文春文庫) 「絶対二回読みたくなる」という文庫版のオビの惹句を見ただけでは読もうとしなかったと思います(この頃オビのウリ文句と内容が乖離している例が多いので)が、ハードカバーの方を読んだ知り合いの人が「確か…

秒速5センチメートル

新海誠さんが製作し、高い評価を得た「雲のむこう、約束の場所」は、光線や反射光の使い方が印象的な作品であったが、背景に比べて人物の絵はどうみてもレベルが落ちる、と正直なところ思った。 本作においても光や色彩のあざやかな背景、風景描写は見事なの…

皇国の守護者(一)~(九)

皇国の守護者(一)~(九)(佐藤大輔 中央公論新社) いつも週末にまとめ買いにいくスーパーには、やる気なさそうな本屋のテナントがある。 その本屋が珍しくポップなんかを作って平積にしていたのがマンガ版の「皇国の守護者」だった。 試し読み用の本(一…

今宵、フィッツジェラルド劇場で

日経新聞の夕刊の映画評の昨年の年間ベストで複数の方があげられていたので、見てみました。 アメリカでは、そのだだっ広い国土のせいか、今でも(日本などにくらべると)ラジオの人気が高いと聞きます。そういえば大統領の大事な演説などはかならずラジオで…