蛙と蝸牛

本と映画の感想

2008-01-01から1年間の記事一覧

ラスベガスをぶっつぶせ

ラスベガスをぶっつぶせ MITの優秀な学生である主人公は、ハーバードの医学部入学を志すが、学費の工面に頭を痛めている。そんな時、数学の教授にブラックジャックのカードカウンティングで一稼ぎしないか、と誘われて、つい乗ってしまう。 天才的能力を…

賭ける魂

賭ける魂(植島啓司 講談社現代新書) 著者のギャンブル遍歴を競馬と海外カジノでの経験を中心にエッセイ風にしたもの。 断片的には、はっとさせられるようなフレーズがあるのだが、書き散らしたエッセイをただ並べただけ、という感じで、まとまりや一貫性が…

旅する力 深夜特急ノート

旅する力 深夜特急ノート(沢木耕太郎 新潮社) 昔、つらいことやいやなことがあると、本宮ひろ志さん作のマンガ「俺の空」とか「サラリーマン金太郎」とかを読んだ。 「こんなことあるわけね~よな」とかいいつつも、主人公たちの超人的な運の良さに支えら…

ジョーカー・ゲーム

ジョーカー・ゲーム(柳広司 角川書店) 装丁のイラストがいかしているのと、伊坂幸太郎さんの賛辞がついたオビにひかれて買いました。各種書評でも評価は高いようです。 日本陸軍がひそかに設立したスパイ養成学校「D機関」。 そこでは自身優秀なスパイだ…

黒船以前-パックス・トクガワーナの時代

黒船以前-パックス・トクガワーナの時代(中村彰彦 山内昌之) 江戸幕府を打倒した薩長政権は、徳川家の治世に批判的であったので、長く江戸時代は停滞した暗黒時代とされていた。 ここ20年ほど江戸時代の見直しがされるようになって、近年では、政治・経…

石油がわかれば世界が読める

石油がわかれば世界が読める(瀬川幸一編 朝日新書) 原油価格が、一時常識はずれの高騰をしたことで、原子力発電の開発が進み、太陽光、風力、バイオなどの代替エネルギーが採算がとれるようになった。日本国内産の石炭ですら採算ラインに近づいたというの…

できそこないの男たち

できそこないの男たち (福岡伸一 光文社新書) この本の要点は、「生物の歴史においてオスは、メスが産み出した使い走りでしかない。メスからオスへ、女系という縦糸だけで長い間、生命はずっと紡がれていた。その縦糸と縦糸をある時、橋渡しし、情報を交換…

グインサーガ120~123巻

グインサーガ120~123巻(栗本薫 ハヤカワ文庫) 「旅立つマリニア」、「サイロンの光と影」、「豹頭王の苦悩」、「風雲への序章」 イシュトヴァーンの子供を連れたマリニアが、ミロク教の聖地ヤガへ旅立ち、グインはサイロンに帰還する。グインの妻シ…

モダンタイムス

モダンタイムス(伊坂幸太郎 講談社) 「魔王」の続編。割とスタンダードなエスパー迫害の物語。SEの主人公は、先輩がトンズラした後の仕事を任されるが、依頼主とは電話も通じず、暗号がちりばめられたソースに頭を悩ます。しかし、ふとしたきっかけで暗…

大いなる陰謀

大いなる陰謀 政治学の大学教授(レッドフォード)は、優秀と見込んだ生徒が授業に出てこなくなったので、呼び出して説教をする。 その中で、教授はかつてのクラスにいた優等生のアフリカ系とヒスパニック系の学生が大学院に行くためにアフガン―イラク戦争に志…

沈黙/アビシニアン

沈黙/アビシニアン (古川日出男 角川文庫) 二つの小説を合本にしたもの。二つの小説に多少の連関はあるが、基本的には独立した小説。 「ルコ」という、カリブ海の島発祥の音楽がヨーロッパ、中国を経て日本の大瀧家の地下に眠るレコードコレクションに納…

アメリカン ギャングスター

アメリカン ギャングスター イタリア系とかアイルランド系じゃない、純?アメリカ人がひきいたギャング組織の実話に基づく話。 ベトナム戦争時代、主人公は、中越国境あたりの麻薬原産地のボスとアメリカ軍人にあたりをつけ、ベトナムからアメリカへ向かう軍…

Sweet Rain 死神の精度

Sweet Rain 死神の精度 原作のうち3編(「死神の精度」「死神と藤田」「死神対老女」)を取り上げて映画化したもの。このブログでも書いたように、原作を読んだ時は「死神と藤田」が、もっとも面白いと思えた作品だった。この映画でも「死神と藤田」はとり…

奉教人の死

奉教人の死(芥川龍之介 新潮文庫) 「切支丹もの」と呼ばれる、戦国時代後半の日本におけるキリスト教信者にまつわる作品を集めた短編集。 著者の、キリスト教信者や牧師、あるいは教会組織といったものに対する視線は、ずいぶん醒めているというか、冷たい…

超「超」整理法

超「超」整理法(野口悠紀雄 講談社) 過去、このブログでも何度か書きましたが、野口さんの「超○○法」シリーズの実用書は、大半の読者にとっては実用的ではなかったのではないかと思います。 野口さんが書くノウハウは、野口さんのような方(研究・著述業で…

翔竜雷撃隊

翔竜雷撃隊 (谷甲州 中公CNOVELS) 今度も前刊から長々と待たされた、覇者の戦塵シリーズの最新刊。 本シリーズは、1冊のボリュームが少ない(200ページ前後)ということもあって、数巻ずつがまとまってエピソードが完成していく形になっている…

プロ野球の一流たち

プロ野球の一流たち(二宮清純 講談社現代新書) プロ野球選手・監督へのインタビューを中心に、戦術論、技術論をまとめたもの。 素人にもよくわかる表現になっていて、楽しく読み進められる。 特に印象に残ったのは、 ①配球のコツは内角球の使い方にあり(…

秀吉神話をくつがえす

秀吉神話をくつがえす(藤田達生 講談社新書) 本書でいう秀吉神話というのは、「徒手空拳の身からの献身的奉公による出世、偉大な改革者・平和主義者そして勤皇家としての成功」ということである。 前段は確かにそういうイメージが世間で固まっていると思う…

中国株投資の王道

中国株投資の王道(バートン・マルキール 日本経済新聞社) もう10年以上前になるでしょうか、同じ著者の「ウォール街のランダムウォーク」を読みました。平易な解説で株価形成の理論が記述されており、「アメリカの投資入門書のレベルは高い(というより…

きよしこ

きよしこ(重松清 新潮文庫) 前のエントリで、浅田次郎さんのことを書きましたが、重松清さんの作品も、失礼ながら、同じような傾向(あざとくて、お涙頂戴、ワンパターン。でも、やめられない)かなあ、と思います。 本書は、どもり癖がなかなか直らない少…

天切り松闇がたり 昭和侠盗伝

天切り松闇がたり 昭和侠盗伝(浅田次郎 集英社) よく、「浅田節」なんて言われますが、浅田さんの作品は、面白くて読み出すと止まらないものの、はっきり言っちゃうと、あざとくて、お涙頂戴、ワンパターン。でも、やめられない、未読の本があるとつい手が…

さまよう刃

さまよう刃(東野圭吾 角川文庫) 主人公の娘は、未成年の少年たちに強姦されたあげくに注射された覚醒剤のショックで死んでしまう。 主人公は、密告者から犯人の住所を教えられ、そこで娘の強姦シーンを撮影したビデオを見つけて逆上し、ちょうど帰ってきた…

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく(ランス・アームストロング 講談社文庫) 著者は、アメリカではあまり人気がなく、それゆえ同国出身の世界的な選手も少ない自転車のロードレースで頭角をあらわすが、睾丸のガンに冒されてしまう。 睾丸と脳からガンを摘出…

美女と竹林

美女と竹林(森見登美彦 光文社) 森見登美彦さんって、今人気ありますね。私もこれまで本書を除いて3冊読みました。 でも、正直言って、その、あまり面白いと思ったことがなかったのです。 京都の貧乏学生の妄想という設定自体は私の好みのカテゴリだと思…

短歌の友人

短歌の友人(穂村弘 河出書房新社) 著者を知ったのは、ある出版社が配布(値段がついてるけど実際は店頭で「ご自由にお取りください」になっている類のもの)したPR誌だった。ある有名なハードボイルド作品(確か「長いお別れ」だったと思うが)の評論(…

ノーカントリー

ノーカントリー ベトナム戦争帰りの主人公は、狩りの最中に偶然麻薬取引の現場(取引がこじれて全員が倒れた後)に放置された大金を手にいれる。 カネを奪われた組織は、凄腕の殺し屋を雇って主人公をさがさせる。 変な髪型、無表情、どうみても非効率な圧搾…

たいがいにせえ

たいがいにせえ(岩井三四二 光文社) 「難儀でござる」に続く、歴史上あまり有名でない(あるいは存在自体が疑われる)人物を主人公にした短編集。特に面白かったのは次の三篇。 「信長の逃げ道」は、朝倉攻めから京都への退却路に当たってしまった琵琶湖畔…

見えないアメリカ

見えないアメリカ(渡辺将人 講談社現代新書) サブタイトルは「保守とリベラルのあいだ」。 そのサブタイトル通り、アメリカにおける保守とは何で、リベラルとは何かを著者の考えで解説した本。 例えば、保守は不介入主義で海外への派兵に消極的であり、リ…

帝国のシルクロード

帝国のシルクロード(山内昌之 朝日新書) 「帝国」という日本語訳の不適切さを指摘したところが興味深い。(以下引用) *************************** 「もし「ライヒ」に託された意味を尊重するなら、国民国家を想像させがちな「…

寺田寅彦随筆集

寺田寅彦随筆集 第一集(寺田寅彦 岩波文庫) 戦前書かれた文章を見ると、今ではよく意味がわからない外来語がよく使われているのに気が付く。当時はあたりまえのように使われていたのだろうが、今となっては全く見られないようなものだ。本書からいくつか引…