2020-01-01から1年間の記事一覧
いつの空にも星が出ていた(佐藤多佳子 講談社) ベイスターズファンを主人公にした短編集。著者自身がベイスターズファンとのこと。佐藤さんの作品はご自身が好きなものを題材にしたものが多いように思う。 「レフトスタンド」は、冴えない高校の教師(囲碁…
JR上野駅公園口(柳美里 河出書房新社) 福島に生まれた主人公は、苦しい家計を助けるために若いころから出稼ぎに明け暮れる。子供も成長しやっと一息ついたところ、長男と配偶者が急死してしまう。人生をはかなんで?主人公は福島の安定した生活を捨て上野…
金足農業、燃ゆ(中村計 文藝春秋) 2018年夏の甲子園全国大会で準優勝した金足農業高校チームの1年生からの経緯と大会の試合経過を描く。 金足農業の野球部は昔ながらの精神至上主義?で外からみると宗教団体のようだという。 2018年の夏もほぼ9人で戦い続…
コロナ後の世界を語る(養老孟司他 朝日新書) 朝日新聞のデジタル版に掲載されたコロナウイルスに関するインタビューや寄稿を集めたもの。 流行初期の2020年の春先に書かれたものがほとんどということもあって、「コロナ後」の世界を語っている人はほとんど…
ホノカアボーイ(𠮷田 玲雄 幻冬舎文庫) アメリカの大学を卒業した玲雄は、父と訪れたハワイ島に惚れ込んでホノカアという小さな町で映画館の映写技師の手伝いを半年間やることにする。下宿先の近所にするビーさんというお婆さんに食事の面を見てもらうこと…
高校生ワーキングプア(NHKスペシャル取材班 新潮文庫) 副題は「「見えない貧困」の真実」。 ファストファッションで上手に着飾り、スマホを持ち歩く高校生の外見は貧困を連想させず、援助を必要としていることがわかりづらいことを指している。 アルバイト…
峠(司馬遼太郎 新潮文庫) 戊辰最大の激戦といわれた北越戦争で、家老として長岡藩を率いたか河井継之助を描く。 この頃、昔読んだ本を再読することがあるのだが、どうも前読んだときよりも面白く感じられないような気がする。 本書は20年ぶりくらいに再…
闘う君の唄を(中山七里 朝日文庫) 幼稚園教諭の凛は埼玉県の田舎の幼稚園に赴任する。その園では昔、送迎バスの運転手が複数人の園児を殺害するという事件があり、それ以来父母会に頭が上がらなくなり、園の教育方針にまで介入するようになっていた。凛は…
絶対に挫折しない日本史(古市憲寿 新潮新書) 人名や事件、年号を極力排して歴史の大きな流れを叙述することを目的とした解説本。 第一部の通史編は、平凡な感じだったが、第二部のテーマ史編は面白かった。 コメ編→コメが主食になったのはせいぜい100年前…
最後の紙面(トム・ラックマン 日経文芸文庫) アメリカ人富豪のオット家がローマに設立した新聞社は、国際紙を発刊してそれなりの地位を築いてきた。しかし創業者の息子、孫とオーナーが移るにつれてしだいに新聞社経営の熱意は薄れていく。記者、訃報欄の…
昆虫こわい(丸山宗利 幻冬舎新書) 昆虫学者の著者が、研究のためにアフリカや東南アジアの国々を訪れた際の経験を記した旅行記。採集・撮影した昆虫の紹介も多数。 ベストセラー級に売れた「昆虫はすごい」はかなり真面目路線だったが、扉の著者近影のヘン…
ウエハースの椅子(江國香織 新潮文庫) 主人公は38歳の画家。妻子ある古物商の男が恋人で、時々彼女の部屋へ訪ねてくる。 男を愛して幸福感に包まれるのとうらはらに、男に絡めとられるような閉塞感と絶望に直面し・・・という話。 日経新聞の読書欄で絶…
博奕のアンソロジー(宮内悠介など 光文社) ギャンブルをテーマにして、宮内さんが「この人に書いてもらいたい」という作家に執筆を(多分出版社を通じて)依頼するという企画物の短編集。 このような依頼があった場合、私だったら、既存のギャンブル(競馬…
アウシュヴィッツのコーヒー(臼井隆一郎 石風社) 「コーヒーが廻り世界史が廻る」が面白かったので、同じ著者、同じテーマの本書を読んでみた。両方ともタイトルの付け方がうまいなあと思った。 内容は、「コーヒーが廻り世界史が廻る」と大差なかった。 …
木曜島の夜会(司馬遼太郎 文春文庫) オーストラリアの北端の島、木曜島では、戦前まで高級ボタンの原料である白蝶貝を採取するため、多くの日本人がダイバーとして出稼ぎに来ていた。ダイバーは危険ではあるが稼ぎはよく、勤勉な日本人は現地で歓迎されて…
コーヒーが廻り世界史が廻る(臼井隆一郎 中公新書) 8世紀ころ、アラビアあたりのイスラム教徒のあいだで飲み始められたコーヒーの世界史の中での位置づけをコンパクトにまとめた本。 初版は1992年で、私が持っているのは22版。長く読み続けられているだけ…
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(若林正恭 文春文庫) キューバ、モンゴル、アイスランドの旅行記。 オードリーの春日じゃない方、というと失礼かもしれないが、本書の中で著者自身がそう言っている。大方の人のイメージも同じではないかと思うが…
血と暴力の国(コーマック・マッカーシー 扶桑社ミステリー) ベトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで麻薬取引にからむ銃撃戦の後を見つける。その場には巨額の現金をおさめた鞄が放置されており、モスはそれを持ち逃げする。しかし単純なミスから持ち…
クワバカ(中村計 光文社新書) クワガタの採集や飼育にとりつかれたようにのめりこむ人たちを描いたノンフィクション。 表紙の写真になっているマルバネクワガタは、姿形だけみるとアゴが短くて素人目にはイマイチな感じ。しかし主に生息している日本の南西…
オタク経済圏創世記(中山淳雄 日経BP) アニメや漫画、ゲームなどを産業史的視点からとらえた年代記。 1990年代までに日本では(採算度外視に近い状態で)漫画やアニメが大量生産され蓄積されており、2000年代に海外でのIP利用やサブスク化、コンテンツ化に…
泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部(酒見賢一 文春文庫) 三国志といっても史書としてのそれと「三国志演義」とかの翻案本では内容にかなりの隔絶があることは、本シリーズでも著者が度々指摘するところだが、日本での翻案本も多くの有名作家が手掛けるところで、フ…
昆虫はもっとすごい(丸山宗利、養老孟司、中瀬悠太 光文社新書) 「昆虫はすごい」がとても売れたので企画されたと思われる対談本。 昆虫の(観察、飼育、採集、標本化などの)愛好者は、自分や仲間のことを「虫屋」と呼ぶそうだ。蝶専門の愛好者は「チョウ…
骨を弔う(宇佐美まこと 小学館) 本多豊は、小学校時代に早熟な同級生の佐藤真美子にそそのかされて、理科の先生を困らせるために人体骨格模型を山に埋めて隠した。 豊は中年になった今になって埋めたのは模型ではなくて本物の人骨だったのではないかと疑い…
あんじゅう(宮部みゆき 角川文庫) 三島屋変調百物語シリーズの2作目。 「逃げ水」は、山奥の社に棲んでいた洪水をおさめる土地神様?が江戸に出て来て・・という話。この神様の見た目が幼子でお茶目?な性格なので、怪談というより、ほのぼのとした昔話み…
ジョジョ・ラビット 10歳のジョジョ(ヨハネス・ベッツラー/ローマン・グリフィス・デイビス)は、ナチ党の熱心なシンパ。ドイツにとってすでに戦局は傾いていたが、ジョジョはクレンツェドルフ大尉(退役軍人/サム・ロックウエル)が始動するユーゲント…
決算!忠臣蔵 大石内蔵助(堤真一)は浅野内匠頭の正室(瑤泉院・石原さとみ)から預かった資金を元にお家再興工作を行い、それがうまく進まないと討ち入りの軍資金として活用する。討ち入りの直前に大石は収支をしたためた「決算書」を瑤泉院に届ける・・・…
ランニングする前に読む本(田中浩暁 講談社ブルーバックス) にこにこ笑って会話できるくらいのペースで走り続けるスロージョギングを提唱する内容。 ・踵から着地するストライド走法ではなく、足裏の前の方の部分(フォアフット)から着地するピッチ走法が…
【新釈】走れメロス他四篇(森見登美彦 祥伝社) 「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」、「桜の森の満開の下」、「百物語」の筋で京都の大学生の生活や恋愛を描いた短編集。 森見さんは現代を代表するベストセラー作家だが、どうも私の好みにはあってなく…
i(アイ) (西加奈子 ポプラ社) 主人公のアイは、シリアから現在の両親に養子に迎えられた。美人で学校の成績もとびきり良いが、自分の恵まれすぎた環境に負い目を感じている。高校でミナという親友を得るが・・・という話。 これまで読んだ西さんの作品の主人…
そしてミランダを殺す(ピーター・スワンソン 創元推理文庫) 投資家として成功して大金持ちのテッドは、妻ミランダが浮気している現場を目撃する。テッドは空港で知り合ったリリーと話し込むうち、リリーに誘導されてミランダの殺害を決意する。実はリリー…